Saturday, December 23, 2006

愛についてのキンゼイ・レポート

(原題 KINSEY) ★☆☆☆☆

キンゼイ博士(リアーム・ニーソン)が、恋人マック(ローラ・リニー)と結婚。新婚初夜の苦い経験から、若き既婚者達への実地的な性教育についての講義を始める。これがきっかけで、生涯を投じて1万8000人の口問口答調査をアメリカ全土で行い、その性の実態レポートを巡って様々なことを経験するが、最後に彼が出した答えとは・・・。

性についての調査過程とそのレポートを巡って昔のアメリカが見える。思わず笑って、考えて、ほろりと来る場面も。見終わるころには、愛と性について真剣に考え込んでいるかも。

アメリカで10年以上生活したが、これほど性に対して保守的に考えていたとは想像してなかった。確かに文化背景を考えれば想像できなくも無い、しかも保守的な南部では宗教的な束縛は未だに残っている。しかしメディアや大学生活を通して見た現代アメリカのイメージからは程遠く、そのギャップが笑いを誘い、驚いてしまう。

調査過程で浮き彫りにされる彼の回りの人々の苦悩。博士と父親の間の確執も父の性的なトラウマが関係している。この絡みのシーンで、キンゼイが父親に言う一言は男としてぐっとくる。また、女性版レポートを発表し酷評された直後に行う調査での会話シーンはジーンと来た。この時代のアメリカ人女性の立場を代弁している重要な台詞だ。

とてもバランスのよい映画だと思うし、出演している役者人も文句なし。久々に見るポール役のティモシー・ハットンは昔からのファンで、彼の主演作メイド・イン・ヘブン(87)は大好きな映画の一つ、共演はケリー・マクギリス。


映画情報とお気に入りの役者

愛についてのキンゼイ・レポート (05)
ビル・コルドン監督・脚本
アメリカ

ポール・グブハルト役(ひげを剃れと言われる研究員)
ティモシー・ハットン 

1960年カリフォルニア生まれ 普通の人々(80)でアカデミー賞 助演男優賞を受賞、僕の好きな役者の一人。
メイド・イン・ヘブン(87) タップス(81)等

マック役(博士の奥さん)
ローラ・リニー 

1964年ニューヨーク生まれ ブラウン大学卒の知性派女優。この作品でアカデミー賞助演女優賞にノミネート。
トゥルーマン・ショー (98) ラブ・アクチュアリー(03)

Monday, December 18, 2006

意外な所で


SPAIN 1999
Gelatin Silver

長年探し続けていた物を遂に発見。1999年の冬、僕はスペインからポルトガルへ海岸沿いにバスと電車を使い、写真を撮りながら旅をしていた。英語の通じない国だったが、穏やかで優しい人々から様々な親切を受ける。暖かい思い出の詰まった旅だった。

その時に出会ったのが、向こうでは一般的なハモン・セラーノとシェリー 。ハモン・セラーノは、豚の腿から下を丸ごと塩漬けにし、温度が一定の洞窟で寝かせた生ハム。現地のバル(バー、カフェ、レストラン、何でもあって地元の人が気楽に集まる)に行くと何本も天井から吊るしてある。それを木製の台に乗せて、オーダーごとにナイフでスライスして出してくれるのだ。一切れほおばる、肉がまったりと舌に絡みつき肉の塩味と香りがふわっと口に広がる、そして鮮烈なシェリー、まさに至福の時。

どちらも元々好物だが、産地国で食すのは初めて。ハモン・イベリコはあちらでも別格で高かった。どんぐり育ちの黒豚だから霜の入り方が違う。とは言え、ここ日本と比べれば格安。

朝一はカフェ・コン・レチェ(単純にコーヒーミルク)

僕はここ、スペインほどコーヒーが美味いと思った場所は今の所無い。しかも、どこのカフェで飲んでも美味いのだ。

朝二はブランデーとシェリーとハモン・セラーノにパン                          


場所によっては4種4ランク位の違う種類を出していて、当然味わい倒す。
隣には、新聞広げて酒を楽しんでいる老紳士がよく居たので嬉しかった。

昼もシェリーにハモンのサンド                                           


最初の頃シエスタには参った

夜はシェリーにハモンをバルの様々な料理と一緒に

ハモン・セラーノ・・・ 手軽にここ日本でも食べられたらなーと思っていた。

最近ちょっとした集まりがあったのでプロシュートとカマンベールでも持って行こうと思い、何の気なく近所のI.Y.に立寄った。

あったのです、とっても現地の味に近いハモン・セラーノ様が・・・しかも安い、100gで700円位だったと思う。美味しかったので、帰りに棚にあったパックを全部買ってきた。

これからは好きな時に楽しめる。通販とかで探せば質の高い物もあるけれど、当座はこれでいい。何てったって、近所のI.Y.で買えるのだから。

SILMIDO ‐シルミド‐ 

★★☆☆☆

1968年南北の緊張が高まる中、北朝鮮のキム・イルソン暗殺による祖国統一を目的とする特殊部隊を作るため、シルミド(実尾島)に31名の犯罪者(重犯罪死刑囚等)が集められ、684部隊訓練兵としての過酷極まる訓練が始まる。1971年、訓練終了で任務遂行にはやる部隊。それと時を同じくして南北融和のムードが高まり、政治的に隠蔽したい事実として684部隊員を抹殺しようと上層部が動く。闇に葬られた衝撃の真実。

忙しいはずの師走に時間を持て余している日曜日、ガツンとヘビーな映像を見たくなった。シルミドは、観客動員数1200万人!空前絶後の大ヒット作!と言う事もあり前から気になっていた。

ここ数年、冬ソナ以来の韓流ブームで注目を浴びている韓国映像。最初はアンチな感もあったが、ある映画のお蔭で一蹴されて以来ちょくちょく見ている。これは、そんな僕が見た数少ない韓流の中でも、史実に基づく重いテーマを持った作品ながら、質の高い娯楽映画としても楽しめた一本だった。

キャラクターの個性を上手く織り込み、喜怒哀楽を通して軍部、政治、一兵士達、それぞれの人間味溢れる演技は素晴らしい。主役のソル・ギョング(カン・インチャ役)の押し殺した芯の強い演技が渋い。

文化背景の含みが分らない所で多少?となるシーンも有るが、そこは人間同士何と無く分かるもの。罰としてバット位の棒切れでガンガン殴りつけるシーン(いたる所に)は、日本兵の名残?と思った。徴兵制度が今の所無いのはありがたい。

エンディングで情報操作された事件ファイルが事務的に処理され、歴史の闇に葬られ現代に至るまでの時間の流れのシーンは秀逸だ。全く関係ないが、このエンディングに感心しながら最近の官僚達の様々な不祥事が頭をよぎった。お国仕事ってものはどこでも同じなのね。

映画情報とお気に入りの役者

SILMIDO ‐シルミド‐(03)
カン・ウソク監督
韓国

カン・インチャ役(684部隊第三班長)
ソル・ギョング
1968年生まれ 演技派俳優 燃ゆる月(00) ユリョン(99) ディナーの後に(98)等


チェ・ジェヒョン役(韓国空軍隊長)
アン・ソンギ
1952年生まれ 国民的俳優にして多彩な活動を展開 MUSA ‐武士‐(01)等、多数

Sunday, December 17, 2006

NIGHT-SCAPE

写真、映像、夜の街・・・ 青空の向こうは闇