Wednesday, March 07, 2007

メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬

(原題 The Three Burials of MELUQUIADES ESTRADA) ★★★★☆

ピート(トミー・リー・ジョーンズ)はテキサスの国境近くにある牧場で働く初老のカウボーイ。メルキアデスはメキシコの故郷を離れて5年、不法就労のカウボーイとしてこの牧場にやって来るが、二人はしだいに友情を深めていく。そんなある日、国境警備員のマイクによってメルキアデスは誤射され死んでしまう。ピートはメルキアデスとの約束を守るためマイクを拉致し、彼の死体と共に故郷ヒメネスを目指す旅に出る。男同士の友情を描いた心に沁みる物語。

久々にいい映画を観たと思えた一本。インタビューでトミーは「僕は今まで何本もの大作と言われる映画に出て来たが、この映画はそのどれとも違う映画だ」と言っていたが、その意味が分る。彼のこの映画に対する愛情をとても感じるし、強いメッセージが込められている。見終わって暖かい気持ちになった。

最初のピートが旅に出るまでの経緯は、フラグメント映像が時間軸を巧く前後させながら見せてくれるので、結末が分っていながらも楽しんで見られるちょっとしたサスペンス映画仕立てだ。この前半、二人が約束の誓いを立てるシーンは印象的。

旅を始める頃から映像的にも変わり、雄大なテキサスとメキシコ国境近辺の景観をバックにゆっくりと時間が進む。ピートと身勝手な若い国境警備員マイク(バリー・ペッパー)とのやり取りが面白く、彼らの心理描写が見事。

昔かたぎのカウボーイが友への思いを胸に、目的地に到達し突きつけられる現実。その中で彼の思いを成就しようとするシーンは素晴らしく、最後に You gonna be alright?の一言がこの映画を見事に締めくくっている。とても含みのある見事な台詞。是非とも見てもらいたい映画だ。

映画情報とお気に入りの役者
メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬 (05)  
トミー・リー・ジョーンズ監督・主演
ギジェルモ・アリアガ脚本(21gを書いた人)
アメリカ

トミー・リー・ジョーンズ
1946年 テキサス州生まれ。ハーバード大学出身の知性派俳優。ある愛の詩(70)でデビユー以来多数出演。逃亡者(93)でアカデミー助演男優賞を受賞。
天と地(93)・スペースカウボーイ(00)・M.I.B.(02)・ハンテッド(03)等多数

No comments: