Saturday, May 19, 2007

チンギス・ハン


JAPAN 2007
Gelatin Silver

ここ暫く日経文化欄の”世界を創った男 チンギス・ハン”を毎日読んでいる。

文章自体は正直たまに飽きる事もあるが、この筆者が史実から冷静沈着な分析で掘り起こすストーリーや登場人物の設定はリアリティに富んでいて、思わずのめり込んでしまう。

元々チンギス・ハンについては、大雑把な言い方をすると残忍、武力統一と言った類の形容詞が漠然と浮かんでいただけだが、この歴史小説を読んで全くイメージが変わった。

凄い人物である。

リベラルな、あの時代から数世紀先にすっ飛んでいたスーパー・カッティング・エッジな大将だ。

特に凄いと思うのは人種差別をせず、どの宗教に対しても同じ待遇をしていた事。あの時代の氏族社会のモンゴル遊牧民達、あるいは周辺諸国の在り様からはかけ離れている。しかも世界初の自然保護法まで創ってしまった、素晴らしいの一言だ。

今現在はモンゴルを統一した所まで進んだ。ここまで来て頭をよぎるのは、人間確かに目的に向かう努力は必要だろう、しかし最終的には時代に選ばれると言う事。今の所世界征服を考えてはいないけれど、創るところで言えば、有名か無名かの境目もこの辺にある。

さてさて、時代の寵児である師匠を眼の当たりにしてきた僕はと言うと・・・大器晩成型と言う事でご勘弁願いたい。